童具館プレイルーム/会員様のお便り
保護者会員 N・O 様 寄稿
幼小コピカ Y・O くん (七歳)

童具館とご縁を頂いたのは五年前、当時二歳の息子が、お隣の、三歳の女の子の家に遊びに行った時でした。
二人が遊んだ「面取りされていない白木の積木」が、幼い子どものおもちゃにしては本格的で、印象的でした。
後日、童具館を紹介して頂いて、私達はイベントやわくわく創造アトリエの親子クラスに参加するようになりました。
活動の中で、息子はお料理が大好きになりました。
主人の賛同が得られて、早速<積木のいろは>を購入したものの、息子は半年以上、見向きもしませんでした。
我が家にはすでに、衣装ケース二箱分のプラレールを、親友の息子さんから電車好きの息子へと譲り受けてあったのです。
資質に欠ける私は、子育て講座に参加しても、和久先生の著書を読んでも、なかなか子どもを信じて待つ、春の陽だまりのようなお母さんにはなれません。
息子からの、調理のお手伝いの申し出を断り、プラレールで遊んでいる隙に、私が食事の支度を済ませてしまうので、食卓に付いた息子は、いつも不機嫌でした。
ある日童具館で、展示棚に積木でつくられた機関車を見た息子の目は、釘付けになりました。
スタッフの方から、その機関車と、その他にも船と鎧甲のつくり方などのリーフレットを頂いて帰りました。
周囲の物を、積木で表現できる事を知った息子は、外出先で、車両や建物、動物や景色を興味深く観察し、帰宅後、積木で再現して遊ぶ事に夢中になりました。
息子は「プラレール好き。でもね、積木は少し難しいの、その難しい所がすっごく面白いの」と言います。
それから我家の積木は少しずつ種類が増え、昨年、息子の入学を機に、念願の<かずの木>が加わりました。
毎回創意工夫に満ちた創造活動を企画し、ご指導くださる先生方と、折に触れ心細やかな助言をしてくださるスタッフの皆様、一緒に活動を楽しむお友達と、保護者の方々との素敵なご縁に恵まれて、息子はいま七歳。
幼小コピカに月三回通い、しっかりと自分を持ち、好きな事に熱く打ち込める、ちょっとおもしろい子に成長しました。
いつも明るい息子ですが、三月の震災後、様子が変わりました。夜泣き、おねしょ、後追いをするようになり、表情も固く、全体が小さく縮んだように見えて、私はとても気掛りでした。
まだ電車に乗るのも怖かった四月の初め、再開されたアトリエに参加しました。
雨樋をガムテープで連結し、ボールを転がして遊ぶ活動でした。
息子は「やった!ピタゴラスイッチみたいだ」と大喜びでした。
終了時刻はとっくに過ぎても、息子は「最後にもう一度、ボールが一周するのをお母さんに見せたいの、お願い」とねばり、私を困らせました。
それでも先生方は、レールの角度に調整を加え、ズレたレールを修正してくださり、はらはらしながら、転がるボールを見守るのですが、うまく行きません。
失敗が続く中、一つのボールが難関を乗り越え、壁に跳ね返り、最後のレールに乗り上げて来ました。ゆっくりとボールが転がり、手元に戻った瞬間、はじけるように輝いた息子の表情が、淀んだ空気を吹き飛ばし、「やったぁ」と歓声が上がりました。
私は、救われた思いと、頭の下がる思いで一杯になりました。
その後三時間、息子は熱く語り続け、大満足で眠りました。
私はそのふっくらとした寝顔を見て、忘れ得ぬ素晴らしい時間が浮かび、感謝の涙があふれました。
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