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神戸岡本プレイルーム/会員様のお便り

子供は黙って見ているとおもしろい

神戸岡本プレイルーム
保護者会員 貫名 優子 様
幼児コピカ 貫名 竜司 くん(6歳)

神戸岡本プレイルーム

「僕、今日はすることがたくさんあるんだ。どっこにも出掛けないからねっ。」
ある朝、息子はそう宣言し、ぴしゃりとドアを締めて部屋に閉じ籠ってしまいました。折しも秋晴れのその日、お弁当でも持って遠出をしようかと提案するつもりでいた私は、急に手持ち無沙汰になってしまったのでした。
それから見るともなしに見ていますと、時折バタンと勢い良く部屋のドアが開いて、小さな建築士が鉄砲玉の様に飛び出してきます。そして何やら建築材料になる物をバタバタと調達しては、又部屋に籠ってしまいます。
その時は、丸二日かけて応接室を城下町に変えてしまいました。積み木やモザイクをベースに、折り紙や段ボール、広告紙などの紙類、アルミホイル、ワインのコルク栓や瓶の王冠、割り箸に竹ぐし、お菓子の空き箱など、ありとあらゆる物が持ち込まれています。
(彼は、幼い人がよくそうである様に、家庭の廃棄物収集家でもあります。)高くそびえたお城の塔からは、四方八方に向かって突き出した大砲が睨みを利かせています。鉄道やハイウェイ、空港など交通機関も網羅した大きな街です。郊外には農作物を育てる農地が広がり、住民の食料事情にまで気が回るなんて、さすがは食いしん坊の城主!と感心してしまいました。
子供は黙って見ているとおもしろい。
そんな事が本当に分ったのは、この、三番目の子が縁あってアトリエに通い始めてからです。
とにかく、アトリエの子供たちの作品が凄い。私は特に子供たちの絵画が好きです。イーゼルに立て掛けられた作品群に囲まれると、そこかしこから子供たちの談笑が聞こえてくるようです。何からも縛られる事のない、自由な魂そのものが、生き生きと語りかけてきます。
息子が四歳のとき、初めてイーゼルに向かい、絵画の製作に挑戦しました。家ではめったに絵を描かない子供でしたので、一体どういうことになっているやらと、少々不安を胸に抱きながら教室を覗いてみました。
驚きました。真四角の椅子(プレイボックス)にちょこんと座り、水色のスモックを着て、大きなイーゼルに向かって筆を動かしているその姿は、本職の画家の様でした。
同じ教室の子供たちが皆、おやつを食べてご挨拶をして帰ってしまい、独りになってからさらに一時間近くたってからでしょうか。カタッと音と共にようやっと筆を置きました。初めてその絵を目にした私は、ただただ打ちのめされて、ことばもありませんでした。
心の底から子供を尊敬した瞬間でした。
幼い子を心から尊敬できる様になると、自然に大人のおせっかい癖が減ってくるものです。
指導をしないのが指導という、アトリエの先生方の子供への接し方を少しずつ真似るうち、子育てが増々愉快で軽快なものになってきました。
日々の子供の創造活動や新発見は軽く私のレベルを越えています。参った、もうついていけない、と思わされることもしばしばです。
例えば、数字の好きな息子は、何かの折によく計算をするのですが、その途中計算でつぶやく数が常識を全く逸脱しているのです。まるで積み木で遊んでいるかのように、彼の頭の中で数が動いているとしか思えません。学校で習った計算方法しか知らない私は、数の世界のロマンを彼に教わった気がしています。
アトリエで幾度となく感動を覚えるうちに、私は身にまとっていた「教育」という名の甲冑を脱いでいきました。
どうやら私は、子育てをとても難しく考えていたようです。何か教えなくては、やらせなくてはと考えていました。が、自ら創造活動をすることが、これほどまでに充実し、生きる喜びになるとは!
大切なことを教えて頂いたアトリエの先生方に心より感謝しています。

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