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「いいこと考えた」

広島安佐プレイルーム
保護者会員 西岡 留美子 様
小学生オンラインクラス
西岡 笑輝くん(10歳)

広島安佐プレイルーム

「いいこと考えた」
息子は小さい頃から何かを思いつくと、誰に聞かせるでもなくこう呟いていました。積木で遊んでいる時、工夫して何かをつくり出す時、公園で遊んでいる時。頻繁に発するほどの口癖ではないのですが、時々ふと口から出てくるのです。お決まりのこの台詞、呟くのは小学校低学年くらいまでかと思いきや、小学4年生になった今でも、たまに息子の方から聞こえてきます。そんな時、私はあえて声をかけずに、しばらく息子の様子を観察します。例えば積木で遊んでいる時。息子は何かぶつぶつと呟きながら、自分でつくった積木ワールドで物語を展開させて遊びます。しばらく遊んでいるなと思ったら、少し静かになり、次にはこの「いいこと考えた」のひと言です。そして、新しい積木を持ってきたり、今ある積木をつくり変えたりしているうちに新しい形ができあがり、先程の続きか、はたまた別のものかはわかりませんが、再び物語が続いていくのです。こんな時、積木の良さを改めて感じます。既にできあがったおもちゃだと、その世界感から完全に抜け出すことはなかなか難しいと思います。でも、自分で好きなようにつくり変えることができ、創造力次第で、どんな自分の思うものにでもみたてられる積木だからこそ、息子の「いいこと考えた」を表現できるのだと思います。また逆に言うと、自由につくれるからこそ、より多くの"いいこと"を思いつくのかもしれません。
私たち家族は、夫の転勤により一時、広島に住んでいました。その時に出会ったのが、『和久洋三のわくわく創造アトリエ 広島安佐プレイルーム』でした。まったく知り合いのいない初めての土地。息子は幼稚園の年長さんでしたが、降園後に毎日遊ぶような友達もいなかったので、その時間をどう過ごそうかと考えていました。ネットで色々と検索しているうちに、こちらのホームページをたまたま見つけたのです。実は転勤前の埼玉で、童具館の積木で遊ぶ機会が2、3度ありました。近くの保育園に童具館の積木がたくさん揃っており、その積木を使った未就園児対象のイベントが時々開催されていたのです。初めて家族で参加した時には、知らない場所ということや大量の積木に慣れないこともあってか、息子がすぐに何かをつくり出すことはありませんでした。でもしばらくして、息子が先だったか親が先だったかは忘れましたが、電車の通る高架橋を親子でつくり始めました。立てた直方体の上に寝かせた直方体を乗せてということを繰り返して、途中カーブも描きながら、長い高架鉄道ができあがりました。最後に息子は四角柱(2倍体)を電車にみたて、つくった鉄道の上を何度も何度も手で走らせて遊びました。それまで家で遊んでいた積木は、安全のために角が落とされているものや基尺も様々だったので、この時に出会った、ぴたっと並べられる積木とそれから生まれる作品の美しさや遊びの面白さには、親の方が魅了されてしまいました。
このように童具館の積木の良さは感じていましたので、通える範囲にプレイルームがあることを知った時にはすぐに「まずは体験してみよう」という気持ちになりました。体験日はちょうど積木の日でした。たまたま他の生徒さんがいない日でしたので、先生とマンツーマン。でも、先生は積木についての最低限の説明のあとは、あまり多くの指示やアドバイスはされませんでした。息子の様子を見守りながらご自身も一緒になって作品をつくっていかれたのです。そして息子の方も、自分でつくりながら、たまにちらっと先生のつくっている方を見ていました。そうこうしていくうちに、大きな階段状の作品ができあがりました。作品をつくり上げたこと、また先生に褒めていただいたこともあり、息子が満足げな表情をしていたことを覚えています。とても楽しかったようで、通うかどうかを尋ねると嬉しそうに「うん!」と即答でした。
こうして楽しく通っていたアトリエでしたが、再び埼玉に戻ることになり、残念ながらやめざるを得ませんでした。しかしその時期、新型コロナが流行し始め、アトリエでもオンラインが始まったのです。初めは、オンラインでの活動には不安もありました。そして何より、横で見ている私が、ついつい声をかけたくなってしまうのです。大人だと今日の活動ではこういうものをつくるんだろうなという完成図が見えてしまうので、先生の指示と違うことをしようとする息子に、あれこれ指摘してしまいたくなるのです。でも、先生は違います。方向性が変わってきても、「そのアイデアいいね!」「それ面白いね!」と声をかけてくださるのです。そうすると、息子は嬉しそうに、そして自信を持って、自分のつくりたい作品をつくり、自分の世界を表現していくのです。反対に、息子が集中している時には声をかけず、画面の向こう側でじっと見守っていてくださいます。"見守る"というのは言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うのはとても難しく奥深いものだと私は常々思っています。先生の接し方を拝見していると、見守ることや待つことの大切さ、息子のやりたい気持ちを尊重することの重要さを再認識させられます。
最後に息子の癖をもうひとつ紹介します。集中している時には口が尖ることです。例えば積木で作品をつくる時、息子は積木の面や辺をぴたっと揃えたいらしく、指先でトントンと軽く叩きながら位置を調整していきます。あるいはアトリエの活動で湧き上がるアイデアを形にする時、黙々と作業を続けます。そんな場面では、たいてい息子の口は尖っているのです。このような時は周りの声はなんとなくは聞こえていても、まるで深海の底で陸上の音を聞いているようなものなんだろうなと、息子を見ていて感じます。私にとっては息子の尖った口が、しばらく様子を見守るタイミングとなります。息子が0歳児頃から続くこの癖ですが、最近ひとつだけ淋しく感じることがあります。大人へと成長すると共に顔立ちが変わってきたことで、口の尖り具合が小さくなってきたことです。

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